2023.03.16

VERITA SOFA

 

 

 

 

 

 

座り心地はデザイン出来るそうです。みなとみらい東急スクエア1階、SEYMOUR内にてCONCEPT DESIGNが展開する家具の中でも目を引くソファがあった。名をVERITA SOFA。一級椅子張技能士鈴木誠氏が手掛けるVERITAは真実や誠といった意味を持つイタリア語。それらを総じて本物と解釈した、文字通り本物のソファは鈴木氏の培ってきた技術やセンス、思いが詰まった作品だった。

 

 

 

 

 

 

カバーリングソファと言えば決して珍しくない。筆者が中学生の頃に実家の部屋で初めて迎え入れたソファもカバーリングソファだった。気分や季節、あるいは劣化などを理由に容易に姿を変える事の出来るカバーリングソファ、なるほど魅力的だ。ただカバーリングソファには特有のそれと分かる”見え方”があり、それを嫌う人も少なくない事実が存在する。このVERITAに於いては、その見え方を生む要素を限りなく完璧に近いレベルまで排除し、ほぼ張包みのソファと変わらないルックスを以て、前述したカバーリングソファの容易に姿を変えられるという点を味わえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

モジュール機能も備えるVERITAは、3人掛けのソファを2人掛けと1人掛けへの分割も容易に出来る。これもカバーリング同様極めて高いクオリティで実現している為、一見しただけではその機能に気付かない程だ。これらは家族構成を含む住環境をはじめ、趣味や気分といった、どうしても移ろうユーザーの事情にソファ側が応えてくれる事で、長く使用出来るという鈴木氏の考えによるものだ。ただ、それだけで本物は名乗れない。ファッション性や利便性はそもそものソファとしての極めて高いクオリティがあるからこそ際立つ。国内外の⾼級ブランドを含む数々のソファに触れてきた経験から追求した、最良と思える座り⼼地。奥⾏や座⾯⾼をはじめとしたサイズについても、⽇本⼈の体格を最⼤限に考慮した設計になっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

minä-perhonen/ミナペルホネンの生地がどこも柄が崩れる事無く完璧な形で使用されている。そもそもがこの生地を使用する事が前提として含まれていると聞いて納得した。長く愛用出来る物という点に拘ったVERITA。せめて100年続くブランドという、ミナペルホネンの理念とも親和性を強く感じる。この他にも耐久性、発色性、通気性にも優れたウルトラスエードを使用したカバーなどが用意されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

視覚的な美しさと機能美を極めて高いレベルで両立している。冒頭でも触れたが、家具であり作品の域だ。祖父の代から家具職人だという鈴木氏。そんな椅⼦張り業を営む祖⽗の作業場が氏のルーツであり、その時の記憶と祖⽗が残した技術を自分も後世に残したいという想いが、多様化するライフスタイルに合わせ変化するソファを生み出した。「楽しむ→愛着→愛⽤→受け継ぐ。これにより⼤量⽣産、⼤量消費が減り、家具職⼈として微⼒ながら地球環境への配慮、ひいては地球と⼦供達の未来に貢献出来れば」とは鈴木氏の弁。

なるほど。本物です。